「スカーボール・カルチャーセンター」で6月末開かれたチャリティーイベントに招かれた。ガーナ出身の脚本家兼女優、慈善活動家のアクヨ・グラハムさん(64)が28年前に設立した「スピリット・ウェイクニング財団」の資金集めのオープンハウスだった。
この財団は刑務所に入れられた未成年者の出所後の更生と社会復帰を目指して作られた。ユニークなのは、歌や劇、創作を通じて「魂を呼び覚まし、よみがえらせる」という更生プログラムにある。これまでに数百人の青少年を更生させてきた。
全米で収監されている未成年者は2000年には10万8千人だったが、20年には8割近く減って、2万5千人になっている。米政府が、収監がいかに未成年者に精神的、肉体的ダメージを与えるかに気付き、政策変更したからだ。
イベントではアクヨさんの教え子たちが自らの体験をモノローグや歌や寸劇で披露した。パフォーマンスからアクヨさんの足跡が浮かび上がる。
刑務所で最初に会ったときは、無表情で押し黙っていた少女。アクヨさんは1枚の紙に「Who am I?」という問いかけを書く。何度か会った時には、「目をつむって、深呼吸しよう」「自分ってどんな人か、考えてみよう。嫌なこともたくさんあった。でも誰かが、あなたを愛してくれている。その人のためにもやり直してみようよ」
「Who am I?」それは私たちに突きつけられている問いでもある。
「Who am I? 抜け殻には 誰も知らないことばかり だから 老いも若きにも訪れるのは永遠(とわ)に変わらない運命だけ」(Losstime Lifeのミュージックビデオ)
仏教の教えにもある。「私って何か。私は何のために生まれて、死んでどこへ行くのか。私たちの浅はかな知恵では知り得ない」
「Who am I?」 そのひと言で「魂を呼び覚まされた」メリーさん。彼女の澄んだソプラノがスカーボールの森に流れた。(高濱 賛)

